
臭う理由は普段食べるエサにあり!
高水温の夏場は特にニオイがきつく、アミ入れした網を入念に、海で何回も洗う人もいるほど悪臭を漂わせます。
「なぜ、こんなにくさいのか?」と疑問に思う人もいるのでは?
これは生息域と食べ物が原因。
河口や排水溝付近に群れて泳いでいるを、見た事がある人も多いのでは?
もちろんこの周辺は水質が悪く、ヘドロ状態のところも少なくありませんが、プランクトンが豊富に流されてくるので、エサには困りません。
肉食でもあり雑食で、波止際や船底、ロープに生えている苔を盛んに食べて様子は定番シーン。
アイゴ(バリコ)の代表されるように、海藻を食べるものは匂うものが少なくありません。
沖で釣れるボラは臭みがない、という人も多いのですが、生息する場所により匂いは大幅に軽重されます。
ボラがジャンプをするときは・・・
釣り人の間では、ボラが飛び跳ねている光景は魚が釣れなくなる兆候とされています。
飛び跳ねるのは水中の酸素濃度が低下しているためで、魚の活性が低下していると考えられます。
水深10mほどの沿岸域の浅所や内湾、河川の下流域などに生息しています。
ボラはエラの内側、のどの上部に空気をためられる釣り鐘状の袋をもっており、朝マズメや夕マズメはもちろん、日中でも跳ねることも多い魚です。
大きい魚のため、釣れると暴れまわって釣り場を荒らしてしまい、本命を遠ざける要因にもなります。
潮が動かず、水が滞留すると酸素濃度が薄くなりやすいです。
そう言った状況下では、他の魚も釣りづらいでしょう。
おぼこい とどのつまり・・・
ボラは出世魚。大きさによって呼び名が変わります。
地方によって呼び名が異なりますが、関東では「オボコ」→「イナッコ」→「スバシリ」→「イナ」→「ボラ」→「トド」と変化します。

ボラの稚魚は体長10センチ程度で小さい。
この「ボラの稚魚」という意味の名詞「おぼこ」が、形容詞となり「おぼこい」になったと言われています。

「とどのつまり」という言葉は、ボラの最終形である「トド」から生まれたと言われています。
トドは成長を終えた老成魚を指し、それ以上成長しません。
このことから、「最終的に」「結局」といった意味で使われるようになりました。
昔からから身近な魚であるボラ。
食べられることは少なくなったかもしれませんが、慣用句があることから大衆的な存在だったことがうかがえますね。
日本三大珍味の一つである、卵巣のカラスミ

カラスミはボラの卵巣を塩漬けして乾燥させた加工食品で、日本三大珍味の一つです。
ボラの卵巣は脂質が多いため、チーズのようなコクのあるねっとりとした味わいが特徴です。
江戸時代から伝わる伝統的な食べ物で、長崎のからすみが有名です。
イタリアなどでは、日本よりも古くから珍味として食べられています。
形が「唐の墨」に似ていることが名前の由来と言われています。
子宝の縁起物とされるボラの卵巣を加工した珍味の「からすみ」が、中国の墨に似ているので「唐墨(からすみ)」と呼ばれ、雛祭りには「子宝」、「子孫繁栄」を願い珍味「からすみ」に似せたお菓子を作ったという説があります。
↑唐墨
深い旨味と程よい塩気、特有の風味があり、熟成したものはまろやかな甘味も感じられます。
見た目はたらこによく似ていますが、色は深いオレンジ色でねっとりとした食感をしています。
酒のおつまみとして薄くスライスしたものをいただくのにぴったりの食材です

「へそ」がある特殊な魚?? ボラの幽閉部(胃壁)

ボラの幽門は「へそ」とも呼ばれ、胃の一部です。
胃より先に進む前に食べ物を細かくすり潰したり、先に進まないように濾す役割があります。
ボラの幽門は丈夫な筋肉層が発達しており、泥や砂ごと餌を吸い込み消化することができます。
その形から「そろばん珠」とも呼ばれ、鮮度のいいものは刺身や焼き物などにされます。
厚い筋肉でできていて、塩焼きなどで珍重されています。
コリコリして砂肝のようですが、泥が入っているので奇麗に洗いましょう。
冬になるとボラの視力は悪くなる?
ボラは冬になると脂瞼(しけん)と呼ばれる瞼のようなものが発達します。
その過程で視力が衰えると言われています。
脂瞼は、魚類の眼にみられる半透明の膜で、まぶた状に眼の一部、あるいはほとんど全部を覆っているものです。
脂瞼を持つ魚の例としては、ボラや、ニシン、サバヒー、そしてサバやアジの仲間などが挙げられます。

脂瞼(しけん)の役割
魚の眼を覆う半透明の襞(ひだ)で、泳ぐ際に水流を変えて水の抵抗を減らす役割を果たします。
偏光の感知や紫外線からの眼の保護、水中を漂う異物に対する防御などにも役立っているという説があります。
そのため、冬には目の周りが白く濁ります。
視力が落ちるので、匂いに敏感になり、集魚材に特に反応が良くなるそうです。
堤防などで強い臭いの集魚剤を使うと、ボラが寄ってくるのはこのため。
ボラを釣るには・・・
狙って釣るなら、オキアミよりもアミエビ。
ヌカや集魚剤を使い、拡散力を持たせる。
エサを、匂いの強いキビナゴに変えてみる。
などをすれば、高確率で釣れるでしょう。



食べるには・・・
ボラ=臭い、が定番イメージですが、調理方法次第では、匂いもなく非常においしい魚となります。
先ずは捌いてお刺身状態に。この時やや肉厚に個別に切ります。
そして塩で揉みます。これを3度繰り返すことで臭いは全くでません。
その後水分を切り、砂糖にヒタヒタになるくらいお酢をいれ、よくかき混ぜます。
そこにボラ刺身をいれ、1日冷蔵庫で寝かせて完成。
お醤油なしで、そのまま食べて下さい。
これは白浜店前喫茶ジャングルさんの秘宝料理。
1,2回失敗するかもしれないが、これは絶品、とのこと。
魚は色々食べたが、これよりうまいものはない、と。
是非お試しください。
夏場でも、この方法なら全く臭いはないそうです。

ぼら煮付け(左)と塩焼き(右)。

匂いがある魚は、味付けしたり、油で揚げれば、全く気にならず、逆に美味しくなるものが多い。
ボラ唐揚げ。

話題性があるボラの姿揚げ。
この料理は珍しい?
皿から、はみ出すボリューム。
